2)昆布の種類と産地はこんなにも!

日本の昆布収穫量のうちおよそ90%を占める産地、どこだかご存知ですか?

それは北海道です。北海道沿岸部の多くで収穫されます。
道南の函館、室蘭や日高沿岸。
道東の釧路、根室や知床半島、羅臼町沿岸部。
道北の利尻島、礼文島や稚内沿岸部。
道央の留萌から小樽付近沿岸部。
北海道をぐるっと回れば、数多くの昆布に出会うことができます。

残りの10%はというと、東北地方の三陸海岸付近(青森県、岩手県、宮城県)などが主な地域です。

北日本でほぼ100%を占めてしまうんですね。

そして、すべての地域で同じような昆布が収穫されるわけではありません。地域によって収穫される種類が異なります。

これは、寒流=太平洋側にある「親潮」や暖流=日本海側の「対馬海流」によって大きく分けられるようです。またそれらの両方が流れ込む場所=函館から室蘭にかけての「噴火湾」でもまた種類は異なっている、ということが言えます。

さらに、種類によって味や特徴が違い、使い方も少しずつ異なります。だしを取るのに適した昆布もあれば、煮て食べるのが最も美味しいものもあります。

では昆布の種類とその産地を見ていきましょう。

真昆布(まこんぶ)

北海道南西部、函館から室蘭の沿岸、そして青森、岩手など東北地方沿岸部で収穫される昆布です。その名称通り、昆布の代表格で高級品。肉厚で幅広くとても良質です。

繊維質が多く煮てもあまり柔らかくならないため、だしを取るのに適しています。そのだしはうっすらとした甘みがあり、とてもまろやかで上品です。

細かく刻んで塩昆布にしたり、とろろ昆布やおぼろ昆布に利用されたり、さらにはよく煮込んで佃煮昆布として食されることもあります。

結納などに使われることが多いのもこの真昆布です。

■主な用途

出汁昆布
おぼろ昆布
とろろ昆布
佃煮
塩昆布
酢昆布
バッテラ
龍皮昆布(求肥昆布、牛皮昆布)

■多く含まれる成分

ヨウ素
カリウム

利尻昆布(りしりこんぶ)

北海道北部、利尻島・礼文島や稚内沿岸で収穫されます。

真昆布と同様にだしを取るのに適しており、とても澄んでいながらコクがあり風味の良いだしがとれます。お吸い物や湯豆腐などに向いています。またそのようなだしの特徴から、京都でとても好まれて使われています。

だしを取るのに使われるほか、おぼろ昆布やとろろ昆布などにも利用されます。漬物に使われることも多いです。

■主な用途

出汁昆布
塩昆布
おぼろ昆布
とろろ昆布
白板昆布
昆布茶
千枚漬け
湯豆腐

■多く含まれる成分

ビタミンK
カリウム

羅臼昆布(らうすこんぶ)

北海道東部の北側、知床半島や羅臼町沿岸で収穫されます。正式には「利尻系えながおにこんぶ」と呼ばれます。真昆布と並ぶ高級品です。

味が濃く香りも高く黄色味がかった高品質な、非常に美味しいだしを取ることができます。昆布茶などに使われたり、真昆布や利尻昆布に比べて柔らかめなため、おしゃぶり昆布や佃煮昆布などにも使われます。

家庭での料理としては、鍋物や煮物に使うのにオススメです。

■主な用途

出汁昆布
おしゃぶり昆布
佃煮
昆布茶

■多く含まれる成分

ビタミンK
カリウム
食物繊維

日高昆布(ひだかこんぶ)

北海道南部、日高沿岸で収穫されます。学術的には三石昆布(みついしこんぶ)という名称です。

味が良いうえに、比較的柔らかいので調理がしやすく、万能昆布として知られています。だしを取るのにも使われますし、煮物や昆布巻など食べるのにも適しています。

■主な用途

出汁昆布
佃煮
昆布巻
おでん
豆昆布

■多く含まれる成分

ビタミンK
マグネシウム

長昆布(ながこんぶ)

北海道東部の南側、釧路から根室にかけての沿岸部で収穫されます。この地域には昆布盛という駅や、昆布森という名称の村があります。

名前の通り6~15mととても長いです。最も生産量が多く、加工用としてよく使われています。家庭での料理としては、おでんや煮物、昆布巻き、佃煮昆布などに使われます。

なお、5~6月に取れた長昆布のことを「棹前昆布」(さおまえこんぶ)といいます。

■主な用途

昆布巻
佃煮
おでん
早煮昆布

■多く含まれる成分

ヨウ素
ビタミンK
マグネシウム

厚葉昆布(あつばこんぶ)

長昆布と同様の釧路から根室にかけての沿岸部で収穫されますが、長昆布よりも葉が厚いものです。ガッガラコンブと呼ばれることもあります。

食べるのに適した昆布で、昆布巻や佃煮昆布などに使われます。また、おぼろ昆布の原料とされたり、酢昆布やバッテラに使われたりもします。

■主な用途

塩昆布
おぼろ昆布
昆布巻
ばってら
酢昆布
佃煮
粉末用の加工原料

■多く含まれる成分

ヨウ素
ビタミンK
マグネシウム

細目昆布(ほそめこんぶ)

留萌~小樽付近からさらに南方など、北海道の日本海側沿岸で収穫されます。また青森、岩手、宮城の東北地方沿岸部などで収穫されるのもこの細目昆布です。最も古くから収穫されている昆布です。

通常2年で収穫するところ、1年で収穫されたもので、粘りが強いという特徴を持っています。

おぼろ昆布やとろろ昆布、きざみ昆布など、加工用に使われます。

■主な用途

とろろ昆布
おぼろ昆布
刻み昆布
納豆昆布
松前漬
佃煮

■多く含まれる成分

マグネシウム
ビタミンK

ガゴメ昆布(がごめこんぶ)

函館沿岸で収穫される、葉に大きなデコボコがある昆布です。その葉の様子が篭の目に似ていることから「ガゴメ」と名付けられました。

粘りがあるのが特徴です。おぼろ昆布やとろろ昆布などに使われます。

■主な用途

とろろ昆布
おぼろ昆布
納豆昆布
松前漬

■多く含まれる成分

ビタミンK
マグネシウム
フコイダン
ラミナラン
アルギン酸

猫足昆布(ねこあしこんぶ)

長昆布や厚葉昆布と同様の地域、北海道東部の釧路・根室から千島方面のみで収穫される希少な昆布です。根の部分、いわゆる根昆布が猫の足の形に似ていることからその名前が付けられました。

特徴としては、その粘り。ガゴメ昆布よりもさらに粘りが強いです。

だし昆布として使われることはなく、おぼろ昆布やとろろ昆布などの原料として利用されるほか、家庭では昆布水を作るのにもよく使われます。その昆布水はとても粘りがあり、色は濃い茶褐色、味はまろやかな甘みが特徴です。

■主な用途

とろろ昆布
おぼろ昆布

■多く含まれる成分

食物繊維
マンニット(マンニトール)