昆布が健康に非常に良いというのは有名な話です。「どのように良いか」というのを知らなかったとしても、良いということだけは知っている方がほとんどだと思います。
ただ、食べ過ぎには少し注意する必要があるというのはご存知でしょうか?
最近だと割と有名になっていることかもしれません。でも、まだまだご存知ない方もいらっしゃると思います。
そして最近流行っている昆布水も同様です。
というわけで、そのことについて書いてみたいと思います。
昆布にはヨウ素が含まれている
昆布には食物繊維やミネラル類が多量に含まれています。
また、その中で「ヨウ素」というのも他の食品に比べて含有量が多いことが知られています。
当然ながら昆布を水に浸して作る昆布水もヨウ素を非常に多く含んでいます。
このヨウ素、体の中では「甲状腺ホルモン」の原料となります。
甲状腺ホルモンには以下のような働きがあります。
- 代謝をコントロールする
- 肌を綺麗にする
- 脳を活性化する
- 体の発達を促進する
特に美容に気を使いたい女性にとっては、甲状腺ホルモンの不足が肌のカサカサの原因になるため、その原料となるヨウ素は積極的に摂りたいところですね。
多量にヨウ素を摂ることの危険性
美容や体の発育を促進するヨウ素ですが、摂りすぎることで悪影響を及ぼすことがあります。
人体の中のヨウ素のほとんど、90%以上が甲状腺に集中します。そのため、ヨウ素の過剰摂取により甲状腺のヨウ素が増えすぎて、甲状腺の働きに影響を及ぼしてしまいます。
具体的には、ヨウ素が増えすぎると甲状腺ホルモンが逆に低下することがあります。これにより甲状腺の働きが弱くなる「甲状腺機能低下症」になってしまいます。
症状としては
- 皮膚が乾燥する
- だるさが強くなる
- やる気が低下する
- 体にむくみが出る
- 食欲が低下する
などが挙げられます。
甲状腺の病気として知られるパセドウ病や橋本病を患っている方なら、余計にヨウ素の過剰摂取に気をつける必要があります。
ただ、極端な過剰摂取でなければ、ヨウ素の摂取を控えることによりほとんどの場合で元に戻ります。
妊娠中の女性は胎児に影響も
妊娠中の女性がヨウ素を摂り過ぎることにより、胎児に影響を及ぼす可能性もあります。
妊娠中の女性にとっての1日のヨウ素摂取量として推奨されているのは220μgです。上限としては900~1,100μgとされています。
一方、昆布100gあたりのヨウ素含有量はというと200,000μg=200mgもの量になります。つまりは昆布1gで上限を越えてしまいます。
ただし、これは毎日継続して摂取してしまった場合の話。1日くらいではそこまで問題にはなりません。
もし仮に継続的にヨウ素を過剰摂取してしまうとどうなるか。これは若干危険です。
胎児が「クレチン症」という症状を引き起こしてしまう可能性があります。「クレチン症」というのは、別名「先天性甲状腺機能低下症」です。
これについても早期で発見することができれば薬での治療により治ります。が、発見が遅れた場合、知的障害などの障害が発生する可能性もあります。
それぞれの段階で対処法はあるので、それほど過剰に心配をする必要はありません。ただ最終的には悪影響が残ってしまう可能性も無くはないので多少の注意は必要です。
普通なら昆布自体はそれほど恐れる必要はない
「昆布にはヨウ素が多量に含まれており食べ過ぎには注意」とは言え、昆布をそのまま食べる場合、または調理して食べる場合にはそれほど気にする必要はありません。
もちろん前述の通り、妊娠中の方やパセドウ病や橋本病を患っている方ですと昆布を食べる量に注意は必要ではあります。そうではない方は必要以上に恐れなくて大丈夫です。
ヨウ素の摂取上限は年齢にもよりますが、妊娠されている方を除く成人の方で1日に3000μg=3mgとされています。ただ、その上限である3mgを毎日摂取した方が良い、という説を唱えている研究者もいるようです。
過去に北海道沿岸地域で甲状腺に異常をきたす人が多発したことがあったようです。その時のヨウ素の摂取量は50mgを越えていたとのこと。さすがに摂りすぎです。
さて、ヨウ素が50mgになる昆布の量というとどのくらいなのでしょうか?
前述した基準からすると25gということになります。「25g」というとかなり少なく感じます。が、昆布の25gをそのまま食べようとするとかなり大変な量です。また調理したとすれば、ヨウ素の量はかなり減るのでさらに多くの昆布を食べる必要があります。
というように、ヨウ素の過剰摂取になるほど昆布を食べようと思うと、かなりの量を食べる必要があります。なので、そこまで心配する必要はないんですね。
もし仮に少しくらい多めに昆布を食べてしまったとしても、それが1日だけなど継続したものでなければ全く問題はありません。さらに体調の不良などが出てしまった場合には、一旦昆布を食べるのを辞めればOKです。
昆布水は少し注意した方が良い
昆布をそのまま、または調理して食べるだけならあまり心配する必要はないのですが、昆布水となると少し話は変わってきます。
なぜかというと、やはりその「飲みやすさ」です。
実は昆布水を作る時、昆布のヨウ素が非常に多く昆布水に流れ出ます。状態によってかなり違いが出るので詳細な数値を出すのは難しいですが、昆布の中の90%以上のヨウ素が溶け出すようです。
そのまま、または調理をして昆布自体を食べる場合にはよく噛む必要もありそれほどの量は食べられません。
でも昆布水は非常に飲みやすいです。
昆布からかなり多くの量の要素が昆布水に流れ出ているわけで、それを飲みやすいからと言って飲んでいるとすぐにヨウ素の過剰摂取になる可能性があります。
というわけで、昆布水を日常的に作って飲んでいる、という方は少し注意するようにしましょう。