1)昆布とは?

「昆布とは?」という問いにわざわざ答えるまでもなく、多くの方は昆布がどういったものか、どういう場面で使われるものがお判りかと思います。

おせち料理の一つとして「昆布巻き」があります。これは「喜ぶ」という言葉にかけて、縁起の良いものとして扱われています。結納において昆布を添える風習もあります。これは、「子産婦」「子生婦」という字と「こんぶ」を掛けて、子孫繁栄の象徴として扱われている、とのことです。

また、日本でだしに使われるものには鰹節、煮干し、しいたけなどがあり、昆布も非常にメジャーなものです。しかし、昆布からだしを取るのは世界的に見ても日本特有で、世界中から「栄養バランスに優れた低カロリー食」として注目を集めてもいます。

というのも、海外では昆布自体がとても珍しいもので、ほとんど食べられることがありません。昆布から栄養を摂ることができる体質なのは、古来より昆布を食べてきた日本人だけだそうです。外国の方の身体にはそういう働きがあまり無いことが研究で判っています。

そういった面があるのにも関わらず注目されている昆布というのが、どれほど素晴らしいものであるかお判りになるのでは無いでしょうか。

昆布巻き

生物学的には、不等毛植物門褐藻綱コンブ目コンブ科に属する海藻の中で、葉が長く食用のものを指します。なお、学術名としては単純な「コンブ」という名称はなく、「マコンブ」「リシリコンブ」などという名称が使われています。

「利尻昆布」「日高昆布」「羅臼昆布」など北海道の地名が名称に含まれる昆布が多数あることから判るように、その多くは北海道沿岸で収穫され、日本の昆布収穫量の90%以上を占めています。他国では、中国でも非常に多くの昆布が養殖されているようです。

歴史的にも非常に古く、最古の記録は平安時代の文献であり、当時から非常に多くの栄養素を持つ物として珍重されてきたという記録があります。中国においては漢方薬として扱われている、という側面もあります。

漢方

現在の栄養学的に言うと、食物繊維が非常に多く、ビタミン・ミネラルを豊富に含んでおり、アルカリ性であるという性質も持っている食品です。特徴的な栄養素としてはヨウ素とフコイダン、アルギン酸が挙げられます。その栄養素から病気の予防にも効果が期待でき、美容やダイエットにも効果的とも言われます。

そんな優れた特徴を持つ昆布ですが、食の欧米化が進んでいる現代においては日本の食卓に上がる頻度が減り、全体としての消費量も落ち込んでいます。それでも一部では改めて昆布の良さが見直され始めてもいます。

さらに近年では、昆布の生産量が減っているそうです。昆布が収穫できる場所はいわゆる藻場(もば)ですが、「磯焼け」と呼ばれる現象によりその藻場が減少しています。